10/12(土)~10/14(月) 八街市災害対策本部支援活動(千葉県八街市)
令和元年10月「台風19号」
八街市災害対策本部の支援活動について
令和元年10月09日16時00分 台風19号が日本列島に近づいているなか、八街市役所では災害対策本部を立ち上げました。台風15号来襲時に多くの家屋の屋根が破損し、ブルーシートの屋根がけが行われている状況下、19号の接近は今後の復興のためには脅威としかとらえようがありません。
10月11日(金)
千葉県でも10月11日13時25分に災害対策本部第2配備態勢に格上げ、県内各市町村に県職員を派遣し、情報収集や連絡体制の強化を図っています。
八街市では、11日13時00分:自主避難所11カ所を設置、受け入れ態勢に着手。(16時30分現在の避難者は、36世帯57人)また情報提供の発信については、各区区長宅に避難所、停電の場合の給水所等の一覧表を配布した。
行政職員内に、屋根修復のスペシャリストはいません。会議の席上災害対策本部内にも、前記した修復に詳しい人材が必要であるとの説明がなされ、袖ケ浦市や野田市での実績を踏まえ、北部支部に相談がありました。北部支部災害対策本部内で協力支援の方向性を決定、八街市と協議、明12日から八街市災害対策本部入りを確認しました。
「八街市災害対策本部の構成」
八街市・自衛隊・消防組合・警察・日本防災士会・東京電力・千葉県・国等
10月12日(土)
翌12日は、13時00分より、台風接近に伴い、各関係団体との連絡体制や、情報の伝達・収集体制の最終確認を実施。(北部支部災害対策本部もこの会議から出席)
この席上、八街市より老人福祉センターに福祉避難所の開設が報告された。
支部対策員は、市災害対策本部会議終了後、開設されていた八街市中央公民館の避難所を視察、ニーズの聞き取り調査を実施するも、台風が通過すれば避難所は閉鎖する方向であることが判明、明日の市災害対策本部への会員の動員計画を策定し、動員会員に連絡1日目の業務終了。
「自主避難所の状況」
八街市中央公民館に開設されていた自主避難所は、台風15号時に開設した避難所状況と変わり(ボランティアセンター開設なし)市職員が対応していた。住民も一度経験していることもあって落ち着いた態度で整然と避難していました。公民館は部屋が小分けにされており、高齢者・乳幼児のいる家族等が畳の部屋や、小会議室等に分離されていました。大ホールには、クッション性のある簡易畳、マット等で一家族ごとに区画されていました。台風通過前とあって落ち着いた雰囲気でした。
「自主避難所の閉鎖:13日11時00分11カ所すべて閉鎖」
「今日の教訓」
避難所運営は、地域・行政・施設管理者が事前に協議検討しておけば混乱することなく運営できるのではないか、と感じた。今後の普及活動には、あれもこれもの教示ではなく、しっかりとした事前マニュアルを策定・訓練を実施することの大切さ(想定外の回避)を伝えていきたい。
10月13日(日)
台風通過後の13日早朝(6時頃)より、八街市全域にわたり被害状況を市職員、消防団、自衛隊等 関係機関が調査し、13時からの市対策本部会議で活動方針を確認しました。
北部支部は、住民からの要請があった台風15号時の屋根に張ったブルーシートの再点検と張り替え等の依頼に対応することに決定し(災害弱者:高齢者住宅7件)活動を開始。
1件目の家屋は、高齢者単身男性で台風15号の際、屋根の棟部分が破損し、自衛隊が補修した物件で、ブルーシートが飛ばされ、土のうが雨どいに絡まって、高所での作業は慣れている会員であっても全撤去までに1時間以上かかり、困難を極めました。土のうを撤去後、土のうを使わない工法で作業開始、ストッパーを屋根瓦に差し込み、野地板で補強、飛ばされていた棟トタンをはり、その上に新工法ブルーシートで止め、修理完了。今後の対応を被災者に説明し、被災住民からはさすがプロ集団と感謝されました。
棟の破損 ブルーシートを除去 仮止め新工法で補修修理
2件目は、先行したニーズ確認者が調査したところ、ブルーシートは飛ばされておらず、シートと屋根の隙間があったため、昨夜、風でシートが屋根にあたり眠れなかったので、ロープを締めなおしてほしいとの訴えでした。目視したところロープはしっかり固定されており、作業の必要性が認められなかった。同行した市職員が事情を説明し、業者の修理を待つとの同意を得て、3件目に移動しました。
3件目は、トタン屋根が持ち上がり飛ばされていた部分は、ブルーシートがしっかりとかけられていました。本件はボランティアが補修する領域を超えており、立ち合い者と市職員が協議し、作業はしないことに決定しました。
4件目に移動しましたが、夕刻のため被害状況確認と明日の作業手順を協議、本日の活動を終了。
「本日の反省点」
1.活動場所の確認と移動時間等の調整をすべきであった。事由:市職員は受付順にと指示されており、広範囲の活動場所となってしまった。午後の活動開始であったので、市役所の近くから作業着手すべきであった。
2.活動現場の調査が先行できなかった。事由:市の職員の同行が原則であるため、職員に同行する余裕がなかった。(ボランティアセンターはすでに閉鎖されており、又 台風の通過が土曜日から日曜日未明にかけてであったため人員不足は否めなかった)
10月14日(月)
(昨日の継続)4件目 昨日作業打合せした被災者宅に現地集合(本部対応会員は別行動)し作業開始、高所作業員が点検したところ、被災者が心配していた棟のブルーシートがけの下を見分、瓦が割れていたことを発見、コーキングし、瓦を接着補修し再度シートがけし補修終了、その後別の場所でシートがずれていることを確認しシートを補正土のうで固定作業終了。5件目の被災者宅へ移動。
棟のシートがずれており 再度点検し掛けなおし 作業終了
5件目については、農家の屋根で大破していた。確認すると15号台風時自衛隊がシートがけしてくれたとのことであったが、台風19号でシートが飛ばされたとのことであった。空模様が怪しくなってきたため、応急処置としてシートの掛けなおしを選択し、作業を開始、大判のブルーシートは重く、平屋の屋根であっても危険性は十分配慮する必要性を感じた。無事シートがけが終了、土のうを使わずロープがけし、地面に固定したところで雨が降り出したため、活動を中断し、市災害対策本部へ帰任、報告。
風で飛ばされた ブルーシートの掛け直し1 ブルーシートの掛け直し2
6・7件目は、別働の会員が被災者宅を調査、視認・写真撮影を実施、報告資料とした。
市対策本部へは、本日の作業活動を中止報告し、作業メンバーは帰宅。本部待機要員は、情報の収集にあたった。
市の対策本部によると、停電が解消すれば、本部の縮小もあるとのことであり、避難所についても昨日の13時には閉鎖された(閉鎖後は非常時の開放施設として活用する)との情報を得た。
本支部も明日からの活動は停止し、緊急時の連絡体制を構築、その旨市に報告、了解された。(緊急連絡員の指定)
作業できなかった現場は、明日から行政対応となる。
「本日の反省点」
1.農家の屋根補修を対応不可とし、他の現場を優先すべきであったと思慮される。事由:作業途中で、明日工務店が現場視認に来るとの情報を得た。被災者・行政・作業グループでのコミュニケーション不足。(作業規模を考慮すべきであった)
2.活動現場への移動時間を考慮すべきであった。事由:昨日他の現場の確認行動を実施すれば、時間短縮を図れた。(移動経路に6番目の被災家屋があったことが判明)
10月15日以降の八街市の対応
10月15日から災害対策本部の規模を縮小(24時間体制から開庁時間から24時まで対応体制に)
10月16日16時00分:災害対策本部解散
「八街市災害対策本部活動を経験して」
災害発生前からの災対本部への参加は、初めての経験でした。行政や関係機関の対応をつぶさに視認し、膨大な作業があること見て取れました。今回は15号台風の復旧が進んでいない中での対策本部立ち上げ、「命を守ることの大切さ」をいかにコントロールすべきか、情報の収集・指示・命令・活動の判断を的確に把握することができ、今後の活動に大変参考になったと感謝しております。
災対本部一員として、当支部会員を参加させていただきました八街市の英断を深く感謝するとともに、責任の重大性を痛感しております。
八街市の早期の復興を祈念いたします。
「日本防災士会:千葉県北部支部・活動スタッフ」
日時:令和元年10月12日(土)~14日(月)
場所:八街市災害対策本部及び市内
内容:ブルーシートの再点検と張り替え等
活動スタッフ:
市対策本部との連絡調整担当:中村(利)防災士
活動支援計画担当・安全管理担当:谷 防災士
情報収集処理担当・被災現場調査担当:髙﨑防災士
高所作業活動スタッフ:小椋防災士(元建設業界に勤務した建物等の補修作業スペシャリスト)
高所作業活動スタッフ:五味川防災士(現職の設備施工業で高所の作業を熟知した人材)
高所作業活動スタッフ:熊澤防災士(会社員・設備施工・保守・点検の担当者)
高所作業活動スタッフ:渡辺防災士(元消防職員として高所作業の経験者)
資材準備担当:藤田防災士
災対本部補佐:岡田防災士
災対本部補佐:越川防災士
文責:髙﨑